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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第5章 仮初め
先端を口に含み、美和は味わうように唇を舐める
その姿を龍青はじっと見つめた
ずっと、好きだった
中学生の頃からだ
周りの友人は真面目過ぎてちょっとないわ、なんて言っていたが、同じように真面目な龍青は気が合いそうだなと思っていた
その上、彼女の意志の強さに惹かれた
どんな状況、どんな相手でも美和は退かない
凪にも臆さず向かう様子を、龍青は羨望を含んだ眼差しで見ていた
野球部での例の一件の時、自分は凪に怯んで己を貫けなかった
だからその後の美和の行動、強さにより一層思慕せずにはいられなかった−−−
「……美和」
そんなことを思いながら龍青は自分の分のソフトクリームを食べ終わる
だが美和はよほど好きなのかまだ半分しかいっておらず、彼女がゆっくり食べている間に夏近い太陽の日射しがソフトクリームを溶かし始めていた
「ん……!?」
コーンを伝い彼女の指に流れた白い液体を掬って口に含む
「早くしないと大変なことになるよ?」
美和は自分の指を舐められたわけでもないのに恥ずかしさに顔を真っ赤にし、急いで残りを飲み込んだ
「ご、ご馳走様でした!」