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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
「陽菜乃……」
「久しぶり」
凪は一瞬驚いたがすぐ妹に背を向けた
「こんな時間に何しに来た。家出なら他を当たれ」
こんな時にこんな勘の良い人間に上がられたらたまったものではない
「家出じゃないよ!」
陽菜乃は閉じられようとしたドアを慌てて押さえた
「美和ちゃんのことで話があるの」
「……!」
「お願いだから中に入れて」
知っていたのか
“いや、コイツの方が美和の近くにいるんだから当たり前か”
「俺は何も話すことはない」
「入れてくれないならこのままずっとここに居座るから!」
凪がどんなに力を込めてドアを閉めようとしても、陽菜乃は頑として折れない
そのまま数秒が経過した
「……ハァ」
凪はため息をつき、観念したように手を放した
瞬間、陽菜乃が中に滑り込んでくる
「で、美和がなんだ」
凪はぶっきらぼうに質問を促す
その様子は以前までの照れ隠しのようなものではなく、本気で嫌がっているように見えた
「なんだっていうか……美和ちゃんと何かあったの?」
陽菜乃は決して目を合わせようとしない兄の顔を覗き込む