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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
俯いたまま凪から身を隠すようにしてもう一人の兄の後ろに回った陽菜乃に驚く陸
「……帰る」
小さな声で言った妹の様子に陸は咎めるような目を凪に向けた
「陽菜乃に何かしたの?」
「っ別に……そっちが……」
「もういいから!」
陽菜乃は叫ぶように言って二人を制した
「お兄ちゃんがそこまで馬鹿だとは思わなかった……このまま何もしないつもりなら私が美和ちゃんのとこ行くから!」
「おい……っ」
激しくまくしたてると兄たちに背を向け走り去った
「……」
「お前も早く帰れよっ」
それを見つめたままただ立ち尽くす陸に凪は怒鳴った
しかし兄にその言葉は届いていない
「あれは……」
「あ?」
陸はすでにいつもの雰囲気に戻っていた
「わざとだね〜」
「は?」
「わからない? 陽菜乃はわざと挑発したんだよ。このままお前が一生後悔したりしないように」
凪はショックで目を見開く
殴られてまで何故そんなことが出来る
何も知らないまま、ただ兄を信じて。
「……っ」
凪は自分の不甲斐なさに歯軋りした
「まぁ、僕はちょっとお節介すぎると思うけどね〜。
あとは凪の好きにしたらいいよ」
笑ってそういうと、陸も帰っていった
"好きにしたらいい?"
ここまでしておいて、何を身勝手な。
もう、道は一つしかないーーー