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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ



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「お帰りなさいませ、お嬢様。あちらにお車の用意がしてございます」



空港に降り立ったお嬢様を、黒い燕尾服に身を包んだ男が出迎える



「旦那様がお話があるそうで、到着次第すぐ来るようにと。

それから、半年ほど前ですがお嬢様にお手紙が届いておりました」



星来はそれを受け取ると、まずその字の汚さに顔をしかめた

しかも宛先は“もりつぐセイラ”とまるで小学生のような書き方がしてある



“寅ちゃ…塚田くんか”



高一のあの時、彼を利用するために使って定着しかけたあだ名を星来は頭の中で慌てて訂正する



手紙の内容は、読むのに苦労はしたが、何のことはないただの近況報告だった

自分は留年したから次が高三だが、美和と凪はどこの大学に行った、というもの



「……」



星来は手紙を読み終えると窓の外に目をやり少し考えるような素振りをした



塚田寅次郎に興味はない

が、あの二人−−−特に美和には、会ってもいいかもしれない



「ねぇ、この大学に行ってほしいんだけど。今すぐ」



星来はちょうど赤信号で停止した運転手に手紙を見せて言った



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