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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
「美和に何の用?」
「どけよ、リュウ」
凪の出す威圧感に龍青は一瞬怯む
が、すぐにぐっと堪えて凪を睨み据えた
「二ヶ月も会いに来なかったくせに、今さら出てきて何する気だよ」
「別に何もしねぇよ」
「なら何で……」
どんどん険悪になる二人の雰囲気
突然、美和が凪に向かって鋭い声を上げた
「誰?」
二人とも驚いて彼女を振り返る
「…知らない……ナギサなんて知らない!」
美和はそう叫び、二人に背を向けて走り去った
「美和!」
凪と龍青は後を追おうと同時に足を踏み出す
だが凪の腕はすぐに龍青によって押さえられ、龍青は怒りに満ちた目で相手を睨み上げた
「何のつもりか知らないけど、お前勝手過ぎるんだよ! 彼女を傷つけて楽しいか!?」
吐き捨てるようにそう言うと思わず立ち止まった凪を後に残して美和を追って行った
「……っ」
“楽しいわけねーだろ……っ”
彼女を傷つけたいなどと、一度も望んだことはない
むしろ傷つけないよう、精一杯接していたつもりだったのに−−−
「くそっ……」
龍青に負けた気がして、凪は拳を握り締め地面を睨んだ