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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
噛んだ唇から血が滲む
自分を見る怯えた瞳が頭に浮かんだ
それでも−−−
一度動き出した感情は止められない−−−
「待って…っ……美和、待っ……」
「いやっ、放して!」
掴まれた腕を美和は思い切り振りほどく
「あ……」
相手が龍青だと分かった瞬間、美和の体から徐々に力が抜けていった
「ごめんなさい……」
「いや……大丈夫?」
龍青の問い掛けに美和はただ俯いて答えない
「さっきの人……」
「言わないで」
美和は泣きそうな声で遮った
「よく分かんないから……」
今、彼女の頭はかなり混乱しているのだろう
「家まで送ってこうか?」
そう尋ねつつ、龍青の中ではだからこそ美和の傍にいたいという気持ちがあった
今離れたら美和は一生戻ってこない気がする
「もし良かったら……落ち着くまでうち、来る?」
答える前にそう言われ、美和は驚いて顔を上げる
そして龍青をまじまじと見つめ−−−少し躊躇ってから、小さく頷いた
「お願い…します……誰かにいてほしいから……」
「…っ……じゃあ、行こうか」
そう言って美和から顔を逸らし、龍青は強く目を閉じた
美和を求める気持ちが抑えられない
“傍にいてあげたい”ではなく、“傍にいたい”というエゴイズムが−−−