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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
「あんまり綺麗じゃないけど、どうぞ」
「お邪魔します……」
小さく頭を下げて部屋に入り、辺りを見渡す美和
“全く見覚えがない……”
でも、男子の家に上がるのはこれが初めてではないと、それだけは何となく覚えている
「とりあえず座って。何か温かいもの入れるよ」
そう言って龍青は台所に入り、美和はおずおずテーブルにつく
「ねぇ、龍青」
美和はヤカンを火にかけて戻ってきた彼に問い掛けた
「龍青は知ってるの? その……ナギサくんのこと」
龍青は一瞬どう言おうか迷った
知っていると答えたら裏切り者扱いされるだろうか
だが嘘をつくことも−−−出来ない
「知ってると言えば…うん……」
「そうなんだ」
美和は龍青から目を逸らして床を見た
「きっと悠も知ってるんだね……何も知らないのって私だけ……」
「それって、思い出さなきゃいけないこと?」
その言葉に驚いて顔を上げると、龍青は哀しそうな、それか懇願するような瞳で見てきた
「どういうこと……?」
「その人を思い出すのはそんなに大切なこと? 今こんなに辛い思いをしてるのに。
今が幸せなら……それじゃ駄目?」