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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
「……っ!」
美和の目から涙が一筋、静かに零れ落ちた
龍青は息を呑んで後ずさる
そして美和の瞳には、後悔と自分がしようとしたことに驚愕し慄く男の姿が揺れて映った
"ああ、知ってる……"
この怯えたような瞳
震える体を必死で止めようとする腕
前にも見たことがある
「でも……龍青じゃないね……」
美和は今度こそ確信を持ち、哀しそうに、それでいてはっきりとそう言った
「楽しかったよ…ずっと……傍に居てくれて嬉しかった。でもずっと隠してたなら…それがもし優しさだったとしても、私は許せない」
もともと自分の意見や気持ちを真っ直ぐに伝える女性だ
「さようなら」
自分の前からいなくなる美和を龍青は、今はまだ、ただ見送るしか出来なかったーーー
悠がお気に入りで、しょっちゅう凪を連れ込んでいたカフェ
そこで凪は彼女を待ちながら道行く人を眺めていた
長いこと立ち止まり過ぎた−−−
もういい加減、歩き出さなければ。