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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
それが段々に自分を、“田島悠”を見て欲しいという気持ちに変わって−−−
美和ではなく、自分を頼って欲しい
愛して欲しいと。
そして彼をただ一人の人間として愛したいと、そう思った
「お前は……」
何も答えない悠に代わって、凪が口を開いた
「俺に似てるな」
「え……?」
「誰かがいないと耐えられない。自分と同じように人に見て、感じて欲しい。
違うか?」
何も言わないのが悠の答えだった
「でも俺の場合、それは美和一人で十分だったんだ。いや……美和がそうじゃないなら、誰にそうされても意味はない」
最後は半ば自分に言い聞かせるように呟き、凪は席を立つ
「美和の代わりなんて馬鹿な真似させて悪かった。
お前はお前だから誰の代わりにもなれねぇし、なる必要もない」
優しくそう言い残し、凪は悠の前から姿を消した
“ズルいよ……”
悠は下を向いて揺れるコーヒーの水面を見つめた
最後の最後に、そんな優しく謝られたら−−−
“引き止めることも諦めることも出来ないじゃん……”
そう思いながら、もうどうにも出来ないのだと悠は強く感じていた−−−