この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
外を歩きながら凪は長く息を吐く
甘えてしまいそうなものは全て棄てた
逃げ道はもうない
あとは、彼女のもとへ行くしか−−−
「それが出来たら最初から苦労してねぇよ!」
人気のない道で凪は落ちていた空き缶を強く蹴る
あともう少し
もう少しなのに−−−
「おー? 和泉じゃねーの?」
「久しぶりだなぁ、最近暴れてねーじゃん」
そんな凪の前に現れたのはいつかのチンピラだった
三年以上も前に美和を攫い、凪を負傷させた奴らだ
“まだやってやがったのか……いつもいつも面倒な時に出てくるな……”
だが今の凪には彼らを相手にする気力も、苛立つ余裕さえもなかった
「あ? 無視してんじゃねーよ」
黙って通り過ぎようとした凪をリーダーの腕が阻む
「怖いのかよ。堕ちたもんだなー、和泉も」
あっという間に三人に囲まれてしまった
「……どけ」
「いい子ぶってんじゃねーよ! あんだけ色々やっといてチャラになると思ってんのかあぁ!?」
「あ」
チンピラの一人が思い出したように手をポンと叩く
「そういやさ、あん時の彼女、元気?」