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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
地雷だった
その言葉に、凪の鮮烈な一撃がチンピラの頬を打つ
「……っ」
殴ってから、久々に感じた拳の痛みに凪は我に返る
もう美和の為にしか拳を振るわないと誓ったのに−−−
手を出された側はすぐさま凪をリンチしにかかる
美和という守る相手がいない今、凪はただじっとその痛みを受けていた−−−
数分後、凪は息を切らして壁にもたれて座り込んでいた
「なんだよ、激弱じゃん。だっせー」
「つまんねーの」
抵抗しない相手に飽きたチンピラたちはボロボロの凪を置いてその場を後にした
“激弱、か”
そうでないことはよく分かっている
ただ美和に恥じない自分である為に何もしなかった
それだけだ
「……っ」
唇から血を流しながら凪は悔しそうに顔を歪める
やられたからではない
こんなにも自分の胸を占める相手が、今自分の傍にいてくれない−−−
「あ……あぁあ!」
凪は叫んだ
男だからそう簡単に涙は出ない
その分の悔しさも声に乗せて強く叫んだ
生まれてからただの一度もこんな大声は出したことがないという程、ありったけの想いを込めて−−−