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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第8章 夜明け



「それなのに、何もしないの? 美和さんが辛いってときに」

「……」

「見捨てるの?」

「っ…俺は……」



未だに揺れる己の気持ちを吐露しようとした凪に彼の携帯が着信を告げた



「……?」



見知らぬ番号に少々顔をしかめ、凪は電話を取る



「……リュウ?」



相手を確認した後、二言三言交わしてから急に怒鳴り出す

あまりの大声に星来は耳を塞ぎながら周囲に人がいないか心配になってきた



「もう美和には近付くな! 俺が捜す!」



一方的に言って電話を切ると、凪はさっきとは打って変わった表情で歩き出す



「ふっきれたの?」

「ちげーよ! ただ……今はもう、俺しかいないってことが分かっただけだ」



星来にとってはよく分からないような言葉を吐き出して凪は美和を求めて足を速めた−−−







携帯が幾度も着信を告げている

母、悠、龍青−−−



でも今は誰の電話にも応える気にはなれなかった

そして−−−



「ナギサ……」



画面に表示された“凪”の文字をなぞりながら口に出す



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