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第8章 夜明け

やっぱり、この人なんだと−−−



「私……」

「悪かった」

「え……？」



どうして彼が謝るのだろうか



「俺はお前が嫌がるくらいにお前が好きで……なのにリュウが傍にいたらそれでもいいと……俺はお前も自分も騙して……」

「自己嫌悪になってうだうだしないでよ、めんどくさい」



それまで存在を消していた星来が突然二人の後ろで声を上げた



「セ…イラ……？」

「ふぅん、私のことは覚えてるんだ」



じゃあ、と言って凪のすぐ後ろに立つ



「私が好きだったのは誰だと思う？ 北里くんなんかじゃないからね」



おい、と凪は星来に対して苛立った声を上げる



「昔の話だからね？ 今はなんでこんな人のこと好きになったんだかわかんないけど」



そう断りを入れるともう一度美和を見た



「私…私は……」



美和の瞳が揺れる





私を愛していると何度も言ってくれたのは誰？

いつだって私を困らせて、それくらいに私の心を占めていたのは誰

私が求める時は必ず傍にいてくれたのは−−−



‘いたいのいたいのとんでけ！’