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第2章 リョウという男。

「どうしたの？さっきから黙りこくって。考え事？」

リョウの妻、アイリが洗濯物を畳みながら話す。
その長く、美しい黒髪を束ね、甲斐甲斐しく家事に勤しむ妻を眺めながら、リョウは先程のボトムの女を思い出していた。

「いや、別に・・・、そういうわけじゃないんだけど。」

「あまり無理しないでね、あなたにもしものことがあったら。」

眉間に皺を寄せ、瞳を潤ませるアイリを眺め、我が妻ながら美しい。とリョウは思った。
アイリもエイペクスである。トルキオの有名な大学を卒業後、リョウの勤める第一ボトム管理局の事務員になった。そこでリョウとの愛を育み、二年前に結婚。今に至る。
二人は才色兼備、美男美女の誰もが羨むカップルだった。

「またボトムの供出のこと？」

「うん、そうなんだ。ブイユはまだまだ女が足りないと言ってきた。」

アイリは少し目線を落として静かに息を漏らした。
髪の間から覗く、その白い首筋が美しい。