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桜の季節が巡っても~追憶~
第52章 誕生日の贈り物1(再編済)
帰国する前も。
帰国した夜も。
『欲しいもの』を訊かれてきたけれど、その都度はっきりと答えられなかった。
美術館のカフェでお茶をした際にも切り出され-咄嗟に大通りに行けばお店があると伝えていた。
けど-。
「…先生の気持ちは凄く嬉しいけれど。でも」
口籠る泉夏に、秀王は困ったような笑みを作った。
「迷惑かな?」
「そんなこと…!」
弾かれたように、泉夏は顔を上げた。
「そんな事絶対思うわけないよ、先生」
真摯な訴えを受けて、秀王は思い切って尋ねた。
「それじゃあ…どうして?」
昨日今日にいきなり訊いたのではない。
もう前から折りに触れ、メールで、電話で、何度も確認していた。

『次に泉夏に逢える時に、泉夏にプレゼントをしたい』

『分かった』
『考えておく』
返事はくれたけど、遂に明確な『欲しいもの』は訊き出せないまま、日本に帰る日を迎えてしまっていた。
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