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桜の季節が巡っても~追憶~
第55章 出発前の甘い夜2(再編中)
「泉夏?」
叶うなら、もう一度-いや、一度と言わず。
淡い期待を込め、彼女の名前を紡ぐ。
けれど彼女が発したのは、予想していたどの言葉とも違い、秀王は面食らってしまう。
「我儘を言って、ごめんなさい」
「我儘…?」
「寝たくないだなんて、駄々をこねて。先生を休ませてあげたいって、本当はちゃんと思ってるの。…でも結局いつもこんな事ばかり言っているから、信用してくれないかもだけど」
最後のひとことは、辛うじて呑み込んだ。
これ以上踏み込んだら、泣いてしまいそうになるから。
何を言われるのかと思っていたら-多少なりとも身構えていた秀王の身体から、力が抜ける。
「今日が来る前から、今夜は一睡もする気なんてなかった」
また『先生』に戻ってしまった事を密かに残念に思いつつ。
『同じ気持ち』だった事を伝える為に、秀王は開口した。
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