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桜の季節が巡っても~追憶~
第56章 ふたりとも好き1(再編済)
ここが大学の食堂で。
今は昼休みで。
大勢の学生で混雑している-その事も暫く忘れていたらしい、自分。
しかもついさっきまで考えていたのは、朝までずっと彼に抱かれ続けていた事。
とてもじゃないが、人様には言えない-それが例え、親友であろうとも。
「な、なにって。なにって、それは…っ」
にやにやしていた言い訳が、思いつかない。
焦れば焦る程、頭の中は真っ白になってしまう。
進退窮まった泉夏の様子に、麻衣はわざとらしい溜め息を吐《つ》いた。
「はいはい。わざわざ言わなくてもいいですよー」
「えっ?」
「今日は朝から飽きるほど散々聞かされてる。彼氏に指輪もらってウキウキしてる話」
からかいに恥ずかしさを募らせる友人を眺めつつ、麻衣は続ける。
「でもまあ、長かった片想いがやっと実れば、そりゃ浮かれもするよね。あんたがこの三年間どんな思いでいたか一番分かってるのは、親友のこの私だもん」
「…麻衣」
優しさ溢れる友達の言葉に、泉夏の涙腺は緩んでしまう。
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