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桜の季節が巡っても~追憶~
第56章 ふたりとも好き1(再編済)
「あ~あ。泉夏と有栖川先生ののろけ話は聞き飽きたし、なんか他に楽しい話ないかなあ」
サラダを突《つつ》きながら、麻衣はつまらなそうに溜め息を吐く。
「…飽きるくらいになんかまだ話してもないし」
聞き捨てならないと泉夏が食ってかかれば、麻衣は眉間に皺を寄せ、力なく首を左右に振った。
「最後まで訊かなくても分かる。も~、勝手にしてって感じ」
「明日聞いてくれるって言ったじゃん」
-ひどい。
泉夏が軽く睨めば、麻衣はそれを素知らぬ顔でかわした。
「お兄さん、元気かなあ」
テーブルに頬杖をついた麻衣の瞳が、うっとりとした。
「お兄さん…龍?」
急激な話題の変化に、泉夏は面食らう。
「そう、龍貴さん。泉夏が久々に先生に逢ったって話聞いたら、久々繋がりで私もお兄さんに会いたくなっちゃった。あんた今彼氏に逢えて、幸せの絶頂にいるでしょ。私も大好きなお兄さんに会ってときめきたい」
切なげな吐息を漏らす麻衣に、泉夏は苦笑した。
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