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桜の季節が巡っても~追憶~
第58章 ふたりとも好き3(再編済)
ああ、もう本当に-いい加減涙が零れそうになり、泉夏は俯くしかない。
麻衣の言う通りこんなにも『馬鹿』で『贅沢』な女なのに、誰も自分を責めない。
それどころか『いい女』だなんて。
全然そんなんじゃない。
どうして皆みんなこんなにも優しいんだろう-その温かさに、ただ無言で耐えるしかなかった。
「俺の事を『いいな』って言ってくれるコも、そのうち現れてくれるかなあ?」
「『自慢じゃないけど』毎年山のようにチョコレートもらってるひとが、なんの心配ですか」
大仰に憂いてみせる龍貴に、大樹は噴飯した。
「お兄さんさえその気になれば、周りにいくらでもいるじゃないですか。俺からしてみれば、厭味でしかないです」
「なんで厭味。マジで心配してるから」
真面目に告げた後。
龍貴は思い出したように隣りの麻衣を見た。
「麻衣ちゃん、今度俺にチョコくれる?」
「えっ」
「密かに毎年待ってるんだけど、まだ一度もくれた事なかったじゃん?」
-来年のバレンタインは期待してていい?
龍貴の誘いざない文句に、麻衣はたちまち囚われた。
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