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桜の季節が巡っても~追憶~
第59章 決断と独占の果て1(再編中)
「…ありがとう」
-遅くなってごめんなさい。
小さく漏らせば、嬉しそうに目を細められた。
「バッグとコートは…とりあえずここでいいかな。すぐにまた、食事をしに外に出るから」
その言葉に頷きかけ-泉夏は動揺してしまう。
彼が示した『ここ』は、部屋の中央、ベッドの上。
ひとりどきまぎしていれば、そんな心中など思いも寄らない彼によって、荷物は全てそこに置かれた。
こんな飛躍した想像、いつもは決してしないのに、どうして今日に限って発動するのか。
邪よこしまな考えが脳裏をちらつく自分を、泉夏はどうにか戒めようとする。
いらぬ妄想をしてしまう自分が、はしたなく思えて仕方がない。
欲求不満、なんだろうか-そっと彼を窺えば、いつもと変わらぬ微笑みを返される。
どきどきする胸を必死に抑え、深呼吸する。
ようやく平常心に近付いたところで、泉夏は勇気を出して口を開いた。
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