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桜の季節が巡っても~追憶~
第59章 決断と独占の果て1(再編中)
「…だ、だきついても」
-いい?
語尾は、消え入りそうだった。
ばくばくする心臓を宥めながら待っていれば、間を置き短く返された。
「…だめだ」
泉夏は驚きに顔を上げる。
彼の言葉の意味を咀嚼そしゃくし、否定されたショックに心が痛み出したのは、数秒後。
まさか拒絶されるとは露ほども思っておらず、どんな反応をしたら良いのか頭が働かない。
眉が歪みかけた泉夏とは対照的に、対する秀王は表情ひとつ変えずに、きっぱり告げた。
「俺が先だ」
非常に真剣な面持ちで宣言され、泉夏は息を呑むしかない。
「泉夏に逢えたら、俺が真っ先にそうしようと思ってた。今から俺が泉夏を抱き締めるから-」
-泉夏はその後だ。
しかし残念ながら、その願いは叶わない。
言い終わりを待たず。
勢いついて胸に飛び込んできた身体に、秀王は虚を衝かれる。
「…泉夏はずるい」
突然の出来事に両眼は見開かれ、彼女を非難する声が思わず零れた。
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