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桜の季節が巡っても~追憶~
第59章 決断と独占の果て1(再編中)
「あの時は無理だったけど、今はこうしていられる。泉夏が少しでも寒くないように、コートを着せてあげられるような関係になれた。些細な事かもしれないけれど、それが凄く-」
-嬉しいなって。
言い終わりとほぼ同時。
コートのボタンは、彼によって全て嵌められた。
「ご飯、食べに行こう?」
促され。
泉夏は小さく頷いて了承した。
同じくベッドの上に置かれていた黒いコートを羽織る彼を見詰めながら、散々逡巡した果てに泉夏は意を決した。
言うなら今-そう思う事があった。
「先生…あのね。私、ずっと言えなかった事があって」
「言えなかった、事…?」
不思議そうな秀王に、泉夏は不安気な瞳を送る。
「いつか謝らなきゃって思いつつも、今まで言えないままだった」
最初は軽い気持ちで応じていた秀王も、深刻そうな泉夏の物言いに次第に緊張せざるを得ない。
固唾を呑んで彼女を見守っていれば、やがてその理由が判明した。
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