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桜の季節が巡っても~追憶~
第10章 朝帰りの出来事1
新聞から顔を上げた絢子が、そんな泉夏の様子を見詰めていた。
口を開きかけたところで、
「外泊は確かに許可したが、こんな朝早くに帰って来る事まで許した覚えはないぞ。先週も言っただろ、朝帰りなんてみっともないから止めろって。ご近所の人になんて思われるか-」
ご飯粒飛んでるって-顔を顰めながら、しかし、泉夏は聞き捨てならず、言い返す。
「みっともないってどーいう意味よ?私の事が恥ずかしいの、お兄ちゃんはっ?」
「世間体があるだろ。流川さんちの泉夏ちゃん、また朝帰りですってよ、とか?嫁の貰い手もなくなるぞ。少しはそういう事も考えて…!」
「何が嫁よっ。いつの時代の話かっての!遅く帰って来たら来たで、またぐちぐち言うくせに。なら、一体何時に帰ってくればいいのよ?」
「午前中の遅い時間帯だ。道で擦れ違ったご近所さんに外泊から帰って来たんじゃなく、コンビニ帰りを思わせるような」
「何それ?何それ!?なんでそんなアリバイ作りのような事。馬鹿らしい」
もう付き合いきれない-一秒足りとも時間を無駄にはしたくない泉夏は、リビングの扉を開けて、二階の自室に向かおうとする。
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