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桜の季節が巡っても~追憶~
第13章 デート前の波乱1
あの春の日に、確かに嗅ぎとったものとまるで同じ匂いがする。
この匂いは知っている。
忘れようと思っても、自分の記憶の中に留まっている-忘れられない。
煙草と、香水と。
紛れもない彼の香りが、今、腕に抱く最愛の彼女から放たれている。
その理由を、秀王はただひとつしか、知らなかった。
「先生」
腕の中の彼女が、自分を呼んだ。
続きを促すように、秀王は彼女に顔を近付け、覗き込んだ。
なんでもない事のように振る舞いたい-しかし、明らかに動揺している自分がいる。
笑っていられない自分を嗤いたくなる。
「私の髪、煙草の匂いがしない?」
正に今、自分が思い悩んでいた事実をそのままずばり、彼女の方から指摘される。
秀王はどう返答して良いのか言葉に詰まる。
確かにすると言えばいいのか。
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