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桜の季節が巡っても~追憶~
第25章 出発前の甘い夜1
もう、だめ。
思うのに。
どうしてこの身体は反応してしまうのだろう-。
「泉夏-」
荒い息を吐きながら、秀王は彼女を呼んだ。
切なげな双眸で、泉夏は彼を見る。
艶やかな黒髪を振り乱し、上気した頬でこちらを見詰める泉夏に、腰の動きを一旦止め、秀王は囁いた。
「さっき、なんて言おうとしてたの?」
「さっき…?」
「そう。何かを言い掛けてた。なのに、なんでもないって」
「…教えない」
視線を逸らし、泉夏は短く言い捨てる。
さっきから意地の悪い彼への、ささやかな仕返しのつもりだった。
堅く口を閉ざす泉夏に、秀王は苦笑いを浮かべる。
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