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桜の季節が巡っても~追憶~
第26章 出発前の甘い夜2
「泉夏?」
もしも叶うなら、もう一度-いや、一度と言わず。
もっと、呼んでくれないだろうか?
甘い期待を込め、彼女の名前を紡ぐ。
「我儘を言って、ごめんなさい」
けれど。
彼女が発したのは、予想していたどの言葉とも違い、秀王は面食らう。
「寝たくないだなんて、駄々をこねて。先生を休ませてあげたいって、思ってるのも本当なの。いつもはこんな事絶対言わない。でも。だって-」
-先生がいなくなっちゃうから。
そのひとことは呑み込んだ。
それ以上踏み込んだら、泣きそうだった。
必死に堪えている泉夏の様子に、秀王は苦笑いをした。
また『先生』に戻ってしまった事への、ほんの少しの落胆と。
寝ないつもりでいたのは、自分も同じだった事を伝える為の、少しの羞恥に。
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