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桜の季節が巡っても~追憶~
第26章 出発前の甘い夜2
『やめた』-深く考えると恥ずかしくって仕方ない。
思い起こせば、彼を貪欲に求める自分が確かにいた。
「…ち、ちがうし」
「そう?」
彼の笑った気配を感じ、泉夏は増々頬が赤くなってしまう。
本当にそれは違うんだけどな-でもまさか、泣きそうになったからとも言えず。
そんな事を迂闊に伝えようものなら、どれだけ必要以上に心配されるか-そこは適当に流すしかない。
「…また暫く逢えなくなるから、明日の朝まで何回でも名前で呼ぼうと思ってたの」
-ほんとだよ?
泉夏の呟きに、秀王は彼女の頭を繰り返し撫でた。
「でも秀はやっぱり、私の中ではまだ『先生』なんだよね。三年間もずっと『先生』だったから…気を付けてないと難しい」
どうにか涙を堪え、深呼吸をした後。
不意に脳裏に浮かんだ-『先生』のままだった事に。
最後の夜だから沢山呼んで、沢山喜んでもらおうと思っていたのに。
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