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桜の季節が巡っても~追憶~
第46章 三年目のデート2(再編済)
『先生…?』
不審に感じながらも手を引かれて向かった先は、文学のひとつめの棚。
訳が分からずにいれば、秀王は下段から一冊の本を探し当てた。
再び差し出された本に、戸惑いながらも泉夏は手を伸ばす。
『夏休み明けの早朝。桜の木の下のベンチで』
耳元で囁かれ、泉夏は絶句した。
『覚えてる?』
訊かれ。
彼の顔をまじまじと見詰める。
あなたと過ごした時間も会話も、全部覚えているに決まってる-言いたいのに、なかなか声にはなってくれない。
『その時に読んでいた本』
-記憶が確かなら、だけど。
迫る温かなものに胸を詰まらせていれば、再度耳朶に、彼の吐息を感じた。
まるで昨日の事のように、記憶が甦る。
大学一年生。
夏休み明けの初日、早朝七時前。
桜の下のベンチに座っていた、あなた。
カバーのかかった単行本。
活字を追う、眼鏡の奥の真剣な眼差し。
離れた場所からただ静かに、見守っていた。
だってあの頃は、声をかけるなんて。
不審に感じながらも手を引かれて向かった先は、文学のひとつめの棚。
訳が分からずにいれば、秀王は下段から一冊の本を探し当てた。
再び差し出された本に、戸惑いながらも泉夏は手を伸ばす。
『夏休み明けの早朝。桜の木の下のベンチで』
耳元で囁かれ、泉夏は絶句した。
『覚えてる?』
訊かれ。
彼の顔をまじまじと見詰める。
あなたと過ごした時間も会話も、全部覚えているに決まってる-言いたいのに、なかなか声にはなってくれない。
『その時に読んでいた本』
-記憶が確かなら、だけど。
迫る温かなものに胸を詰まらせていれば、再度耳朶に、彼の吐息を感じた。
まるで昨日の事のように、記憶が甦る。
大学一年生。
夏休み明けの初日、早朝七時前。
桜の下のベンチに座っていた、あなた。
カバーのかかった単行本。
活字を追う、眼鏡の奥の真剣な眼差し。
離れた場所からただ静かに、見守っていた。
だってあの頃は、声をかけるなんて。

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