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奥手なオークが貞操の危機!?
第1章 1
それから二、三日の間、ベオは徹底的にアリシアとアーニャを避けた。
廊下の向こうから二人の話し声が聞こえれば近くの教室に飛び込んで机の下に身を隠し、隠れる教室がなければ廊下を全速力で逆走し、絶対に彼女たちの前に姿を見せぬよう、注意の上に注意して行動していたのだ。
そうはいっても同じ大学の、同じ構内にいるのだから限度がある。彼がアリシアに遭遇したのは、四日目の昼過ぎのことであった。
午後からは他校とのフットボールの試合があるとかで構内に人気はない。だから静かな中で書物を探そうかと訪れた図書室の、いちばん奥の書架の間でのことである。
ベオが屈みこんで書架の本を物色していると、逃げ道をふさぐようにアリシアが立ちはだかった。
「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」
「うわぁあああ! まってナイし! 待ち合わせしてナイし!」
「むう、その反応はちょっとひどいんじゃありません?」
アリシアがよよと顔を伏せるから、ベオはさらに慌てふためいてその顔を覗き込む。
「ご、ごめん! もしかして、傷ついた?」
彼女の手がすっと伸びて、ベオの襟首を掴んだ。
「うふふ、やっと捕まえた♡」
ドン、と小さな音がして、ベオは書架に押し付けられる。
アリシアは少し頬を膨らませて、ベオにぐいっと顔を近づけた。
「ここしばらく、わたしたちを避けていましたわよね?」
「う……そんなことはないんじゃ……ないかな」
「ちゃんと目をみて!」
「う~ぐ~」
シジミのようなベオの瞳を覗き込んでアリシアはご立腹である。
「わたしたちのご奉仕がそんなにご不満でしたか?」
「いや、そういうわけでは……」
「じゃあ、やることだけやったらポイですか? ずいぶんとオークらしい非道さですこと」
「そ、そういうわけでも……ありません」
「じゃあ、なんでですの!」
「……恥ずかしかったから」
「はい?」
「だって……裸……みられちゃったし……」
「乙女ですか!」
「あのあと、自分でも……しちゃったし……」
「あらあら、まあまあ!」
アリシアの表情がぱあっと輝く。
「もしかして、私たちのことをオカズにして?」