この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
奥手なオークが貞操の危機!?
第1章 1
近隣には同じように人間だけが暮らす村、ゴブリンだけが暮らす村があったが、お互いのテリトリーを侵さず、つまり他部族の村へは立ち入らぬことが不文律となっていた。
もちろん同じ国に属し、同じ領主によって治められているのだから交易や交流はあるが、ただそれだけ。種族の壁というものはあからさまに存在している。
「私はここを卒業したらエルフの里に戻ります。きっとエルフの男のところに嫁にいって、いやになるほど退屈な生活を長い寿命の尽きるまで続けることになるんでしょうね」
「私は違うぞ! ここを卒業したら、都会で職を見つけて都会に住む! そうすれば、種族の差なんて関係ないだろう!」
「あなたの場合、世間がそれを許してくれないでしょうね。あなたがここにスポーツ特待生として入学したのは、いずれ軍務につくときの有利になるから。つまりはここを卒業したあとの道がもう決められているんですもの」
「くっ! これも女騎士として産まれたわが身のさだめかっ!」
「だからベオさんも、もっと気楽に考えてくださいな。私たちがこうして好きだの嫌いだの騒いでいられるのも学生のうちだけ……期間限定の恋なのですから」
この言葉に、ベオはこぶしを握った。
「いやだ!」
「聞き分けのないコトを……」
「俺は、ちゃんとした付き合いをしようと考えている。責任を持って、その……結婚するつもりだ。そうしたら、種族がどうこういわず、俺の嫁として都会で暮らせばいい」
「それ、どちらに対して言っていますの?」
「どちら……」
そういわれてしまうと、悩むしかない。アリシアに女性としての魅力を感じ、これを抱きたいと思う気持ちは間違いなくあるが、それと同じように小柄で愛くるしいアーニャを抱きしめてしまいたいと思う気持ちもウソではない。
「え~と……どちら……」
きょろきょろと落ち着かなく二人を見比べるベオに、アリシアはとびきりの笑顔を見せた。
「ね、そんなむずかしいこと考えるのは後回しでいいですから、楽しいことしましょ」
この言葉に、アーニャがぴょこんと飛び上がって同意する。
「そうだな、せっかくスーツなんか着てるんだし!」
「あら、スーツを着てると、何かありますの?」
「なんか……モブおじさんみたいじゃないか?」
「ああ、確かに」
ベオは少しべそをかく。
「ひどい、けっこう気にしてるのに」
もちろん同じ国に属し、同じ領主によって治められているのだから交易や交流はあるが、ただそれだけ。種族の壁というものはあからさまに存在している。
「私はここを卒業したらエルフの里に戻ります。きっとエルフの男のところに嫁にいって、いやになるほど退屈な生活を長い寿命の尽きるまで続けることになるんでしょうね」
「私は違うぞ! ここを卒業したら、都会で職を見つけて都会に住む! そうすれば、種族の差なんて関係ないだろう!」
「あなたの場合、世間がそれを許してくれないでしょうね。あなたがここにスポーツ特待生として入学したのは、いずれ軍務につくときの有利になるから。つまりはここを卒業したあとの道がもう決められているんですもの」
「くっ! これも女騎士として産まれたわが身のさだめかっ!」
「だからベオさんも、もっと気楽に考えてくださいな。私たちがこうして好きだの嫌いだの騒いでいられるのも学生のうちだけ……期間限定の恋なのですから」
この言葉に、ベオはこぶしを握った。
「いやだ!」
「聞き分けのないコトを……」
「俺は、ちゃんとした付き合いをしようと考えている。責任を持って、その……結婚するつもりだ。そうしたら、種族がどうこういわず、俺の嫁として都会で暮らせばいい」
「それ、どちらに対して言っていますの?」
「どちら……」
そういわれてしまうと、悩むしかない。アリシアに女性としての魅力を感じ、これを抱きたいと思う気持ちは間違いなくあるが、それと同じように小柄で愛くるしいアーニャを抱きしめてしまいたいと思う気持ちもウソではない。
「え~と……どちら……」
きょろきょろと落ち着かなく二人を見比べるベオに、アリシアはとびきりの笑顔を見せた。
「ね、そんなむずかしいこと考えるのは後回しでいいですから、楽しいことしましょ」
この言葉に、アーニャがぴょこんと飛び上がって同意する。
「そうだな、せっかくスーツなんか着てるんだし!」
「あら、スーツを着てると、何かありますの?」
「なんか……モブおじさんみたいじゃないか?」
「ああ、確かに」
ベオは少しべそをかく。
「ひどい、けっこう気にしてるのに」