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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第2章 後編
タクシーに乗り込むと、
スマホを運転手に見せた。『ここまで急いで行ってほしいの!』
今宏樹から言われた別荘の場所だ。


「はいはい……
お客さん、こりゃかなり遠いよ?
高速使わなきゃならないけど」

運転手は白髪頭のベテラン風だ。
メガネを直しながらのんびりした口調でそう言う。



『高速でも何でも使って!お金はありますからっ』


あたしは出掛けにバッグに放り込んだ封筒を一つ取り、
運転手へと見せた。



200万ある。


運転手はポカンとしたあと、
「あ、ああ…
はい。では出発しますね………」とタクシーを走らせる。



『えーと、えーと……』
あたしは必死で考えた。
警察が頭に浮かんだけれど、万が一……あたしと宏樹くんの仲を全て調べられてしまったら?


――言えないわ……


1人で何とかする。
それしかないわ……



あたしはスカートをギュッと握った。


時人の携帯にコールするが、
出ない。
宏樹くんの携帯にかけても同じだ。
コール音はするのに、出ない……




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