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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第2章 後編
宏樹は近寄り、
あたしを抱き締めた。


「………やっと、
やっと2人だけで居られる……
旦那さんの後釜じゃなくていいんだ……」
そう囁く。



『……宏樹く……
宏樹……』
あたしは顔を上げて目を見詰めながら、
名前を呼ぶ。


「碧ぃ………!」
唇を塞がれた。


『んっ……、
ま、待って!』
あたしは宏樹の背中を叩いた。


「……何」


『時人は?
………ほら、あの子がいると2人きりになれないじゃない?』
あたしは言葉を選びつつ宏樹の様子を窺う。



「……ああ、なんだ。
そんなことか。
時人くんはバンの後部座席で眠ってるよ」


『本当に?!
………見てきていい?』

宏樹はあたしから手を離さない。

「一緒に行くよ。
時人くんは寝てるだけだよぉ」
拗ねた子供のようにぶーたれる宏樹。




さっき見た時に見落としたんだわ。
後部座席の窓はスモークガラスだし……
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