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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第1章 前編
『ああ………』
何ていい匂いなんだろう?



あたしはまた、
下腹が熱くなった。


トイレでビデを使い宏樹くんの液体を流したあと、

グラタン&ナゲットを時人の部屋に運ぶ。



『時人?
入るわよー?』


時人はベッドで寝息を立てている。


あたしはテーブルにお盆を置いて、小さな寝顔を眺めた。



満たされる。


時人の健やかな寝顔………

天使のようだ。

長い睫毛に、
半開きの口。



「………んあ」
時人が目を開いた。
「んん〜〜〜いい匂い…」目を擦る。


『起きた?
はい、お水。
グラタンとナゲットよ』
あたしは盆から取り、
手渡す。


小学校高学年になってから、『あーん』を嫌がるのだ。

時人が嫌がることはしない。


モクモクとナゲットを食べている。
「おいしいね、ママ」



あたしは時人の喜ぶ顔を見て嬉しくなる。

『グラタンも少しずつ、ね?』


「うん。
ミートグラタン、めちゃウマ」

時人はナゲットを半分残し、ミートグラタンを食べる。



半分ほど食べるとスプーンを置いた。
『お熱は……まだ熱いわね。
もう少しだね?
昨日いただいたお薬飲もうね』
あたしは時人のオデコに手を当て、熱をみた。



顆粒の風邪薬を飲む時人。

ごっくんすると、
もう形を成してきた喉仏が隆起した。


あたしはその隆起に、
また疼く。




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