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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第3章 溺愛


――――まったく。
本当に、いい迷惑だったわ。

あたしはニュース画面を白けた眼差しで見る。

時人をさらったうえに、脅しまでしてくるなんて。

「いってきますね、姫〜」たーくんがあたしに声をかけた。
いつの間にか玄関で靴を履いているようだ。

『はぁい、行ってらっしゃあ〜い♪』
あたしは小走りに玄関に向かう。小箱を手渡すと、背伸びをして旦那の唇にキスをする。


チュッと音が響く。


旦那は照れくさそうに、
でも嬉しげに笑いながらマンションを出ていく。





あたしは伸びをしながら『あ〜〜〜♪♪
これで心おきなく時人の事だけ見てられるぅ』とにんまり笑った。
素直な時人は、あたしの〔お兄さんは頭がおかしいみたい〕を信じた。
〔心配するから、パパには内緒にしとこうね〕というと神妙な表情で「…わかった!男だもん、強くならなきゃ」と旦那が時々教えている「男だから強く」を反芻したようだった。





あたしは伸びをした。

『あ〜〜〜♪♪♪
これで思いっきり時人のことだけ考えられるぅ♪♪』爽快な満足感が広がる。


『邪魔になったら消すだけだわ〜ん♪♪』


そう。
あたしは更に強くなったわ。
時人にはあたししかいない………
その気持ちが強くなった気がする♪

時人……
時人。
あなたはあたしだけの王子様なのよ。
あたしが全てからあなたを守る!



窓の外には青空が広がっていた。
あたしは『さぁて、お掃除しよっと♪』とルンルンでリビングの掃除を始めた。
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