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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第1章 前編
あたしはまた、ショーツに染みが広がった。



時人と並んで店員からオススメ携帯の説明を受ける。


もちろん、
あたしのスマホと連動させるために同じ携帯会社にした。


親子割り、ファミリー割引なんてものがあるらしい。


あたしはそんな意味の無い割引よりも、
時人がどう喜ぶかばかり考えちゃう。



「これがいい〜」
時人はガラケーと呼ばれる折り畳み式のを指差した。

『スマホにしないの?』あたしが訊くと、
「うん。さっき弄ってみたけど難しい。タブレットとPC持ってるし…
それに中学にならないと学校に持ってけないしなー」と言う。



ホントにこれでいいのね?
何度も念を押したあと購入した。
時人、ガラケーのがいいだなんて……やっぱりその辺りが他の子とは違うわ。

帰り、
助手席にて時人は面白そうに指先でボタンを操ってる。

「友達に初メールしちゃお♪♪」


あたしは(まさか結愛菜じゃないでしょーね)と訝る。


けど……
こっそり覗くしかないわ。

時人に嫌われたらいちばんツライもん♪



店員から「中学生未満のお子さまには、
通信制限をかけております。
危険なサイトがたくさんありますので……
どうか健全に使っていただきたいんです、ご了承願いますね」と説明された。



危しいサイトや、
虚偽メールはチェックしなきゃ。


あたしの時人を誰にも奪わせないわ!


『時人、
あとでママに携帯かして?』

「えっ、何でだよう」

『あのね、
インターネットって危ない勧誘や詐欺が沢山たくさんあるのよ。
それだけshutしとおきたいの。
お願い!』



時人は「う〜〜〜
仕方ないなあっ、いいよ」と寛容だ。


何て良い子なんだろう♪♪

『時人、ケーキ食べて帰ろっか♪』
「え、いいのー?やったぁ!」
時人は素直で優しい。
頭も良いし、
運動も学年で1・2を争う身体能力。



モテないはずがないんだけど、
あたしとしては不安ばっかり。
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