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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第1章 前編
「え〜〜〜。
ねぇ、良かったらアドレス教えて?メールしよっ♪」
愛結菜はサラリと時人を唆す。


「うん!
いいよ」

「ホント?やったぁ。
あゆ、嬉しー」



時人は良い子だ。
頼まれたら断り難いんだろうな。


愛結菜という子は嫌な感じがする。


仕草がいちいちオトナじみていて、
気持ちが悪い。


『時人、あゆちゃんにあんまりメールばっかりしちゃダメよ?
あゆちゃんの邪魔になることもあるんだから…』

あたしは時人にやんわり牽制した。



愛結菜は「そんなことないです〜」とクスクス笑う。


「あゆー、帰るよ〜〜〜」遠くから愛結菜のママの声がした。


あたしは愛結菜のママに駆け寄り、
『いつもお世話になってます』と挨拶した。


愛結菜のママはさっぱりした印象だ。
群れるわけでもなく、
ぼっちってわけじゃない。誰ともそつなく雑談をしてる記憶しかない。


親はいいのに、
一体どうした娘なのかしら。


あたしは愛結菜が「時人くんまた明日ね!
風邪お大事にねっ」と手を振るのを、
冷ややかに見ていた………………



あの娘には、
近いうちに制裁を加えなくっちゃ。

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