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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第1章 前編
帰宅すると、
夜9時だった。



『時人、少し休みなさい〜。
またお熱出ちゃうわ』

あたしは時人のパジャマを新しくおろし、
ベッドに置いた。


時人は「すっごく楽になったけどなー」と首を傾げている。


『風邪はね、
ぶり返すこともあるんだよ?
着替えて休みながら、
出来そうなら時間割りしようね』



「うん」

時人は着ていたジャージを脱ぐ。

あたしはドキドキする。


もう小学5年生となれば、大抵のことは自分でする。
あたしはそれが物足りなくて寂しい。

でも、
時人が右手で扱いたり生臭い匂いのティッシュが増えることは喜びだ。




時人は背は普通。
背の順に並んでちょうど真ん中辺り。

だからかな……
余計可愛い。




パジャマに着替えてる時人。
もう、ブリーフは嫌だと言い出してトランクスに替えた。


あたしは洗濯のたびに、
トランクスを鼻に押しつけて匂いをたっぷり吸っている。


時人はまだ怠そうで、
ベッドに寝転んだ。



あたしはそっと部屋を出た。―――そうだ。この隙に、時人の携帯をチェックしとこうっと。
青色をした時人の携帯を持って出た。

ピンポーン…♪♪


『は〜〜〜いっ』
旦那だ。
いつもより少し早い帰宅。


あたしは小走りに玄関に向かい、
ドアを開けた。
「ただいま〜〜〜」


『たーくん!
おかえりなさ〜いっ』
あたしは旦那に飛び付く。
旦那は「わかった、わかったから(苦笑)」
とあたしを撫でた。
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