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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第1章 前編
「はいは〜い」
時人の声がエレベーターに消えて行く。
あたしはせっかく顔が見えたのになぁ……
と少し拗ねた。
ピルルルル〜〜〜♪♪
スマホの呼び出し音が鳴る。
あ、終わったかしら?
『もしもし?』
あたしは穏やかな声で通話に出た。
「碧さん、
投函しましたよー♪♪」
宏樹くん―――精肉店の子息だ―――
の呑気な声が聞こえた。
『そう?
うふふ、どうもありがとう。あたし脚が痛くて………運転もしんどいのよ。
助かったわ』
「いいえ〜。
隣県のお得意様に配達するついででしたから!
それにしても豚の脳ミソが好きだなんて、
マニアックな肉好きなんですねぇ」
『ええ。
かなり変わった嗜好のかたなのよ………
良かった〜。喜んでくれるわ、中身を見たら……』
あたしは笑いを抑えた。
宏樹に頼んだのだ。
『もし、棄てるなら豚の脳ミソを分けて貰えないかしら?』と。
人が好い宏樹は「もしかしてご友人にマニアックな方がいるんですか?」
とすぐに持って来てくれた。
脳ミソは緑色をしており、虫が這うようにぐちゃぐちゃだった。
宏樹曰く「高温でしっかり焼けば食べられるから、
マニアックな肉好きは食べてますよ。但し熱が通ってないと確実に食中毒になっちゃうから、ホントのマニアじゃなきゃ知りませんね」という。
一旦脳ミソを受け取り、
あたしは着替えてご近所の年配婦人の家を尋ねた。
顔見知りで、
たまに家庭菜園で出来たネギやら人参をくれる60代の女性だ。
今日もしているだろうと尋ねると、
やはり家庭菜園を耕していた。
時人の声がエレベーターに消えて行く。
あたしはせっかく顔が見えたのになぁ……
と少し拗ねた。
ピルルルル〜〜〜♪♪
スマホの呼び出し音が鳴る。
あ、終わったかしら?
『もしもし?』
あたしは穏やかな声で通話に出た。
「碧さん、
投函しましたよー♪♪」
宏樹くん―――精肉店の子息だ―――
の呑気な声が聞こえた。
『そう?
うふふ、どうもありがとう。あたし脚が痛くて………運転もしんどいのよ。
助かったわ』
「いいえ〜。
隣県のお得意様に配達するついででしたから!
それにしても豚の脳ミソが好きだなんて、
マニアックな肉好きなんですねぇ」
『ええ。
かなり変わった嗜好のかたなのよ………
良かった〜。喜んでくれるわ、中身を見たら……』
あたしは笑いを抑えた。
宏樹に頼んだのだ。
『もし、棄てるなら豚の脳ミソを分けて貰えないかしら?』と。
人が好い宏樹は「もしかしてご友人にマニアックな方がいるんですか?」
とすぐに持って来てくれた。
脳ミソは緑色をしており、虫が這うようにぐちゃぐちゃだった。
宏樹曰く「高温でしっかり焼けば食べられるから、
マニアックな肉好きは食べてますよ。但し熱が通ってないと確実に食中毒になっちゃうから、ホントのマニアじゃなきゃ知りませんね」という。
一旦脳ミソを受け取り、
あたしは着替えてご近所の年配婦人の家を尋ねた。
顔見知りで、
たまに家庭菜園で出来たネギやら人参をくれる60代の女性だ。
今日もしているだろうと尋ねると、
やはり家庭菜園を耕していた。