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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第1章 前編
―――――翌日。



夕方時人が駆け足で帰ってきた。
「ママーっ!!」



洗濯物を畳んでいたあたしは、
『おかえりなさ〜い♪
どしたの、そんなに慌てて……』といつになく慌ている時人を心配した。



「結愛菜が、
入院したんだって……」
時人は慌てていた顔から、突然悲しげな表情になった。


『えっ?!
結愛菜ちゃんって……
この間ケーキ食べてる時に会った可愛い子よね?
どうしたのかしら……』

あたしはオロオロした。


「………何か、
疲れてて心療内科とか言ってた。
ナカタ先生がホームルームで〔結愛ちゃんは頑張り過ぎて、
少しお休みしなきゃならないんだ〕って言ってて…」


あたしは屈む。
時人に目線を合わせる。『………そう。
結愛ちゃん、頑張り過ぎてたのね。
時人、結愛ちゃんが元気になるように待ってようね?』


時人は「……うん!
元気になったら、またクラス皆で遊べるもんね」
と笑顔になった。


『そうよ!
時人が笑ってたら、結愛ちゃんも元気になると思うわよ?』
あたしが笑うと、


「わかった!……落ち込んでても仕方ないもんな。
俺、夕輝と遊んでくるね」とバッグを置いて再びマンションを出て行った。



何て優しい時人。


あたしは時人の優しさ・
思い遣りの深さに心底惚れ直してしまうわ。
心療内科だなんて、心が壊れた子にもあんなに親身になって……

結愛菜は、
予定通り潰れた。


あたしは『えへへ、
やったぁ♪嬉しい〜〜〜』と鼻歌を歌いながら再び洗濯物を畳んだ。

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