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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第2章 後編
『……ええ。
そうなんです。
本人は本当に何もしていなくって。』


あたしはその日の夜、
7時に早速ナカタ先生にTELをした。


ナカタ先生はスポーツマンの明るい男性教諭で、
悩みなどもきちんと個別に聞く良い先生だ。


「僕もホームルームでのことは気になっていたんです。
時人くんは誰から見ても意地悪をするような子じゃありません。
お母様、心配かと思いますが………
その女子たちに僕から話をしてみます。
もちろん事を荒立てないよう、配慮しながら聞いてみます。
明後日また連絡をしますので、
待っていただけますか?」

『ええ、お願いできますでしょうか?
時人落ち込んでしまってますので。
はい、またご連絡下さい』あたしはTELを切った。



一体何の恨みがあって時人にそんな嫌がらせをするんだろう?


あんなに優しくて思い遣りもある時人に。


時人は夕飯も一口だけしか食べず、
『疲れたから寝る』と部屋にこもってしまった。



旦那は今日も遅いし…………


あたしはスマホを持ち〔カフェ慈庵〕にTELをした。

「はい、慈庵でございますが…」高内だ。


『もしもし?
いつも美味しいスイーツを頂いてます、早川でございますが』


「早川さん?
どうしたの夜に」高内が砕けた話し方になる。


『あの、お願いがあるんですけど……
昨年一度頼んだことがある、〔特製抹茶ぷりんケーキ〕を作っていただけないかしら?』


「今ですか?」


『え、ええ……
やはり無理すぎるかしら………』


「………碧さん次第かなぁ」高内がニヤついているのがわかった。

『明日、そうね……
Nホテルで1日じゅうなんてどうでしょうか……』

もちろん性交渉の話だ。


「……うん(笑)
楽しみだ、分かりましたよ。
〔ぷりんケーキ〕を直ぐ作ってお届けするよ」


『お届けまでしてくださるんですか?
……ありがとうございますっ……息子が落ち込んでまして……』


「えっ、何かあったの?」
高内は話を聞いてくれた。

「うーん………
小学校高学年だと難しい時期だもんな。
妬みかもしれないし…
元気出してよ、碧さんは笑ってるほうがよりキレイなんだし」


『はい………
すみません、聞いていただいて。
挫けないようにガンバりますね』

TELを切った。

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