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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第2章 後編
時人を通わせている私立学園は、
限られた家庭の子供のみ通える。


つまり育ちが良い。


育ちが良い人間は、
善意を持っている。

そして…………
疑うことを知らずにすくすくと育つ。



いくら世間で事件があっても、
自分の学校に〔爆破予告〕があっても、
どこか対岸の火事なのだ。


警戒しつつ、
警戒することがいけないことだと分かっている。


あたしは『助かるよ!
え〜とね、名前はイマイなんだ……』
と入りくんだ路地に進む。

『イマイさん……
何軒かありますよ』
杏南は疑うことなく、
スタスタ歩いてついて来る。


路地裏の一角に差し掛かった。
あたしは今だと思った。


振り返り、
杏南の口を手袋を履いた左手で塞ぐ。

『……ぐっ!!』


杏南を壁に押しやり、
力いっぱい口を塞いで………


杏南はパニックと恐怖から目を見開き、
硬直していた。

あたしは無言で杏南のスカートを捲ると、
右手で撫で回した。


杏南は固まったまま……


あたしは素早く右手でポケットを探り、カメラを出すと杏南を撮った。


『誰にも言っちゃいけないよ……』
オジサンのような声を出し、
固まったままの杏南を残して立ち去る。




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