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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第2章 後編
あたしは次の女子の自宅周辺を彷徨(うろつ)いた。
和式の大豪邸。
『宮平沙優【みやだいらさゆ】……
父親が医師ね。ふぅん』
あたしはクラス名簿を見ながら歩く。
大豪邸はぐるりと壁に囲まれていて、
防犯カメラらしき機械があった。
だからあたしは裏手にある区立図書館に入って、
窓ガラス越しに新聞を読むフリをして豪邸を眺めた。
『――あ。
あれね』
制服を着た女子が、
トコトコ歩いて豪邸の門へ向かうのが見えた。
あたしは立ち上がり、
小柄な沙優を追う。
『あの〜〜〜。
宮平さん?』
あたしは低い声で沙優に話しかけた。
沙優は首を傾げ、
『はい、宮平ですが』と言う。
淡いサラサラした髪が、制帽にキュッと収まっていた。毛先が肩で揺れている。
儚い雰囲気の美少女だ。
『………良かった!
僕、昔先生に命を助けてもらったんです』
あたしが言うと、
沙優は「あ、パパの…」と小さな声を出した。
『そう、お父様に助けられて。
こんなに元気になったから、お礼を言いに来たんだ』
「えと、パパはクリニックに居ますから……」
沙優はキョトキョトしつつもはっきりとした口調だ。
『クリニック、
どちらでしたっけ……
長く地方にいて、道を忘れちゃったんだ』
「こちらです、
駅前なので」
沙優が歩き出した。
あたしは路地に入ると沙優の腕を掴んだ。
周辺には高い建物や邸宅ばかりで、
幸い人が居ない。
時間が勝負だわ。
和式の大豪邸。
『宮平沙優【みやだいらさゆ】……
父親が医師ね。ふぅん』
あたしはクラス名簿を見ながら歩く。
大豪邸はぐるりと壁に囲まれていて、
防犯カメラらしき機械があった。
だからあたしは裏手にある区立図書館に入って、
窓ガラス越しに新聞を読むフリをして豪邸を眺めた。
『――あ。
あれね』
制服を着た女子が、
トコトコ歩いて豪邸の門へ向かうのが見えた。
あたしは立ち上がり、
小柄な沙優を追う。
『あの〜〜〜。
宮平さん?』
あたしは低い声で沙優に話しかけた。
沙優は首を傾げ、
『はい、宮平ですが』と言う。
淡いサラサラした髪が、制帽にキュッと収まっていた。毛先が肩で揺れている。
儚い雰囲気の美少女だ。
『………良かった!
僕、昔先生に命を助けてもらったんです』
あたしが言うと、
沙優は「あ、パパの…」と小さな声を出した。
『そう、お父様に助けられて。
こんなに元気になったから、お礼を言いに来たんだ』
「えと、パパはクリニックに居ますから……」
沙優はキョトキョトしつつもはっきりとした口調だ。
『クリニック、
どちらでしたっけ……
長く地方にいて、道を忘れちゃったんだ』
「こちらです、
駅前なので」
沙優が歩き出した。
あたしは路地に入ると沙優の腕を掴んだ。
周辺には高い建物や邸宅ばかりで、
幸い人が居ない。
時間が勝負だわ。