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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
夜半の襲撃から半月近くが経過した。
うだるような暑さが連日続き、ねっとりと身体にまとわりつくような暑熱を含んだ空気が何とも不快だった。お絹の腹の子は順調に育ち、腹部はますます大きくなった。赤子は既に八ヶ月に入ろうとしていた。
その日、お絹は近くの辻堂まで詣でた。村外れの道端にひっそりと佇んでいる小さな御堂には滅多に訪れる人とていない。だが、その前の花入れには常に供花が絶えることはなく四季折々の花が手向けられていた。
半月前刺客に襲われてからというもの、昼日中の外出も避けていたのだけれど、流石にもう大丈夫だろうという一抹の油断があった。お絹は大きく突き出した腹を労りながら、ゆっくりと歩いた。時折立ち止まっては休み、また歩く。何度か振り返ってみたが、吉之助らしい姿はなかった。
うだるような暑さが連日続き、ねっとりと身体にまとわりつくような暑熱を含んだ空気が何とも不快だった。お絹の腹の子は順調に育ち、腹部はますます大きくなった。赤子は既に八ヶ月に入ろうとしていた。
その日、お絹は近くの辻堂まで詣でた。村外れの道端にひっそりと佇んでいる小さな御堂には滅多に訪れる人とていない。だが、その前の花入れには常に供花が絶えることはなく四季折々の花が手向けられていた。
半月前刺客に襲われてからというもの、昼日中の外出も避けていたのだけれど、流石にもう大丈夫だろうという一抹の油断があった。お絹は大きく突き出した腹を労りながら、ゆっくりと歩いた。時折立ち止まっては休み、また歩く。何度か振り返ってみたが、吉之助らしい姿はなかった。