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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
道沿いの樹々から降るような蝉時雨が響き、容赦ない真夏の陽差しが肌を灼く。まだ昼前であったが、夏の太陽はじりじりと照りつけていた。
辻堂の前まで歩いてきた時、その傍らにある小さな池に眼が止まった。池の水面には蓮の葉が一面に浮かんでいた。蓮は既に蕾をつけ始めている。蓮の花が開くのは江戸では大体、小暑(七月八日)からおよそ二十日後と決まっている。この辺りも大差はないだろう。
あと少し待てば、あの池も一斉に蓮の花が開き見事な景観を呈するに相違なかった。お絹が愉しい想像を巡らせながら、池を眺めていたそのときだ。眼前の辻堂の戸が突然、音を立てて開いた。
辻堂の前まで歩いてきた時、その傍らにある小さな池に眼が止まった。池の水面には蓮の葉が一面に浮かんでいた。蓮は既に蕾をつけ始めている。蓮の花が開くのは江戸では大体、小暑(七月八日)からおよそ二十日後と決まっている。この辺りも大差はないだろう。
あと少し待てば、あの池も一斉に蓮の花が開き見事な景観を呈するに相違なかった。お絹が愉しい想像を巡らせながら、池を眺めていたそのときだ。眼前の辻堂の戸が突然、音を立てて開いた。