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凍える月~吉之助の恋~
第1章 【第一話 凍える月~お絹と吉之助~】 一
お絹は、うっすらと眼を開いた。ゆっくりと首だけを動かしてみれば、そこは見たこともない場所であった。かび臭いような、ほこりっぽいような匂いが満ち、鼻を突く。狭い部屋の片隅に古びた夜具が畳まれた状態でうず高く積み上げられている。
部屋には窓らしい窓はなかったが、たった一つ、北側の壁に小さな丸窓がそこだけくり抜かれたようにあった。色あせた障子がはめ込まれている。どうやら、夢の中で見た一筋の光は、その窓から差し込んできたものらしかった。
そろりと寝かされていた布団の上に身を起こす。
「気が付いたか?」
背後で低い声がして、お絹はビクリと身を慄わせた。
振り向くと、意識を手放す間際にかいま見た男の顔があった。
部屋には窓らしい窓はなかったが、たった一つ、北側の壁に小さな丸窓がそこだけくり抜かれたようにあった。色あせた障子がはめ込まれている。どうやら、夢の中で見た一筋の光は、その窓から差し込んできたものらしかった。
そろりと寝かされていた布団の上に身を起こす。
「気が付いたか?」
背後で低い声がして、お絹はビクリと身を慄わせた。
振り向くと、意識を手放す間際にかいま見た男の顔があった。