この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
吉之助が荒い息を吐きながら喋る。
そう、あの時、吉之助の中で何かが変わった。囚われの自分より他人の身を案じるお絹を変わった女だと嘲笑ったけれど、気が付けば、そんな優しい心根の娘に吉之助は惹かれ始めていた。自分の気持ちをごまかすように、わざと手荒に扱い、お絹を荒々しく組み敷いてみたが、お絹と膚を重ねれば重ねるほど心奪われ、溺れてゆくばかりだった。
二十数年の生涯で数え切れぬほど女を抱いたが、吉之助がただ一人本気で惚れた女がお絹なのだ。お絹への想いを最早止めようがないと知った時、吉之助は親分の以蔵が喜作や伊八への復讐を諦めていないのを知った。執念深い以蔵は、お絹の身体を吉之助にさんざん慰ませ、お絹の身体と心をぼろ切れのように痛めつけただけでは気が済まないのだ。
そう、あの時、吉之助の中で何かが変わった。囚われの自分より他人の身を案じるお絹を変わった女だと嘲笑ったけれど、気が付けば、そんな優しい心根の娘に吉之助は惹かれ始めていた。自分の気持ちをごまかすように、わざと手荒に扱い、お絹を荒々しく組み敷いてみたが、お絹と膚を重ねれば重ねるほど心奪われ、溺れてゆくばかりだった。
二十数年の生涯で数え切れぬほど女を抱いたが、吉之助がただ一人本気で惚れた女がお絹なのだ。お絹への想いを最早止めようがないと知った時、吉之助は親分の以蔵が喜作や伊八への復讐を諦めていないのを知った。執念深い以蔵は、お絹の身体を吉之助にさんざん慰ませ、お絹の身体と心をぼろ切れのように痛めつけただけでは気が済まないのだ。