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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
以蔵からお絹の息の根を止めるように命じられた吉之助は、以蔵の許から離れた。惚れた女を手込めにし、この世の地獄を見せた張本人の自分だが、たった一つ以蔵の手から守ってやれるくらいのことはできるはずだ。そう思ったのだが、伊八と祝言を挙げて幸せに暮らしているはずのお絹は、いずこへともなく姿を消していた。
良人の伊八さえその居所を知らず、そのゆく方を追って奔走しているようだった。
吉之助は、お絹が惚れた男と幸せな新婚生活を送っているとばかり思い込んでいた。
なにゆえ、お絹が突如としていなくなったのか。疑念は湧いたが、吉之助はひそかに極秘の情報網を使い、お絹のゆく方を探した。江戸の闇組織を牛耳る以蔵に継ぐ地位を持つ男である、その気になれば、ゆく方知れずの女一人を捜すことは造作もなかった。お絹が江戸から少し離れた鄙びた村にいることを知った。
良人の伊八さえその居所を知らず、そのゆく方を追って奔走しているようだった。
吉之助は、お絹が惚れた男と幸せな新婚生活を送っているとばかり思い込んでいた。
なにゆえ、お絹が突如としていなくなったのか。疑念は湧いたが、吉之助はひそかに極秘の情報網を使い、お絹のゆく方を探した。江戸の闇組織を牛耳る以蔵に継ぐ地位を持つ男である、その気になれば、ゆく方知れずの女一人を捜すことは造作もなかった。お絹が江戸から少し離れた鄙びた村にいることを知った。