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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
しかし、お絹を見た吉之助は愕然とした。
お絹は懐妊の身であった。彼女の姿をひとめ見た時、吉之助は何故お絹が良人伊八の傍から姿を消したのかをすべて悟った。吉之助はお絹の身体を奪い尽くしただけでなく、取り返しのつかぬことをしてしまったことを知った。
腹の子の父親が亭主の伊八なら、待ち望んだ子のはずだ。何もお絹が伊八と別れる必要はない。お絹の腹に種を撒いたのは他ならぬ吉之助であった。
「でも、吉之助さんは二度も私を助けてくれたじゃない」
お絹は腕に抱えた吉之助を見た。
「どうせ地獄へ堕ちる身だが、死ぬ前にせめて一つくらい良いことをできて良かったぜ」
吉之助の呼吸が更に荒くなった。
お絹は懐妊の身であった。彼女の姿をひとめ見た時、吉之助は何故お絹が良人伊八の傍から姿を消したのかをすべて悟った。吉之助はお絹の身体を奪い尽くしただけでなく、取り返しのつかぬことをしてしまったことを知った。
腹の子の父親が亭主の伊八なら、待ち望んだ子のはずだ。何もお絹が伊八と別れる必要はない。お絹の腹に種を撒いたのは他ならぬ吉之助であった。
「でも、吉之助さんは二度も私を助けてくれたじゃない」
お絹は腕に抱えた吉之助を見た。
「どうせ地獄へ堕ちる身だが、死ぬ前にせめて一つくらい良いことをできて良かったぜ」
吉之助の呼吸が更に荒くなった。