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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
「喋らないで」
お絹が吉之助に首を振った。
「吉之助さんがくれた鈴、ずっと肌身離さず持っていたのよ」
お絹はわざと明るい声音で言って、吉之助の眼の前で紅い鈴を振って見せた。
「可愛い音が鳴るの。吉之助さんがこんなものを持っていたなんて、見かけによらないわね」
お絹が冗談めかした口調で言うと、吉之助は笑った。笑った拍子に傷が痛むのか、顔をしかめた。
「相変わらず、お喋りな女だぜ」
それから真顔になった。
「子どもが生まれたら、その鈴を渡してやってくれねえか。お前の生命を守ってくれた鈴だ。お守り代わりに子どもに持たせてやって欲しい。そうすれば、俺はいつまでも子どもと一緒にいられる」
お絹が吉之助に首を振った。
「吉之助さんがくれた鈴、ずっと肌身離さず持っていたのよ」
お絹はわざと明るい声音で言って、吉之助の眼の前で紅い鈴を振って見せた。
「可愛い音が鳴るの。吉之助さんがこんなものを持っていたなんて、見かけによらないわね」
お絹が冗談めかした口調で言うと、吉之助は笑った。笑った拍子に傷が痛むのか、顔をしかめた。
「相変わらず、お喋りな女だぜ」
それから真顔になった。
「子どもが生まれたら、その鈴を渡してやってくれねえか。お前の生命を守ってくれた鈴だ。お守り代わりに子どもに持たせてやって欲しい。そうすれば、俺はいつまでも子どもと一緒にいられる」