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凍える月~吉之助の恋~
第6章 第二話 【鈴の音】 三
と、ポンと小気味よい音が響いた。
お絹は我に返った。ふと見上げれば、東の空が白み始めている。一つの音が聞こえると、またその音に呼応するかのように、もう一つの音が響く。
お絹は眼を瞠った。辻堂の傍の池で蓮の花が開き始めていた。まだ薄暗い水面で花弁が弾かれるように開いてゆく。
江戸では不忍池が第一の蓮池の名所であり、蓮見船を仕立てて「蓮用の宴」に興じる風流人もあった。
固唾を呑んで見つめている前で、いつしか小さな池は紅白の花で一杯になった。色鮮やかな紅と純白の花で埋め尽くされた池の全景は圧巻とさえ言えた。
お絹は吸い寄せられるように池のほとりに行った。
お絹は我に返った。ふと見上げれば、東の空が白み始めている。一つの音が聞こえると、またその音に呼応するかのように、もう一つの音が響く。
お絹は眼を瞠った。辻堂の傍の池で蓮の花が開き始めていた。まだ薄暗い水面で花弁が弾かれるように開いてゆく。
江戸では不忍池が第一の蓮池の名所であり、蓮見船を仕立てて「蓮用の宴」に興じる風流人もあった。
固唾を呑んで見つめている前で、いつしか小さな池は紅白の花で一杯になった。色鮮やかな紅と純白の花で埋め尽くされた池の全景は圧巻とさえ言えた。
お絹は吸い寄せられるように池のほとりに行った。